21世紀のシナリオを概念デザインしていく前に、時代の変遷と時代の捉えかたについて考えてみましょう。
1990年代は本当に色々なことがめまぐるしく起こりました。その動きが時代の渦中にいてもよく実感
できます。1990年代にわたしたちは時代の潮流という感覚を味わったきているわけです。
しかし、通常は(1980年代以前)時代の渦中にいると時代が移り変わっていくという実感はあまりもてません。
…
これはわたしたちの人生が数十年しかなく、なかなか時代を大局的には認識できないからです。
もしわたしたちの寿命が1000年や1万年もあったら、この百年の動きは音がするように
関知できているはずです。今、日本や世界でありとあらゆる今までにない事象が噴出しており、
21世紀がいままでとは違う別次元に移行しそうなことは分かりますが、なかなか具体的な
新世紀像を描くのは難しいことも事実です。従って、新世紀を見据えるために、一度百年単位あるいは
千年単位で時代のパースペクティブをみてみる必要があります。そして時代が変遷する普遍の要素で
20世紀を振り返らないといけないでしょう。
…
下図を見ながらご説明します。
人間の歴史は百年単位で進化します。さらにそれが積み重なって千年単位で大きな進化を遂げます。
その進化のありようはスパイラル的であって、一つのサイクルの中に「環境」「思考」「技術」
という循環的な要素が組み込まれています。この一つのサイクルが一巡するとまた新たに「新環境」が
発生してくるといった具合です。
…
20世紀をどう捉えるか、その進化の行き先としての21世紀がどのようになるのだろうかということ
も、「環境」「思考」「技術」という循環で考えることができます。
20世紀と21世紀の特徴については別項で説明しますが、ここで確認しておきたいことは
21世紀的な「環境」と「思考」と「技術」はそれぞれ20世紀とは内容が大きく違うと言うことです。
21世紀の新環境は20世紀が進化して生み出すものですが、その様相は20世紀とは
かなり異なるものになるでしょう。そこに時代の大きなうねり、即ちスパイラル進化が
あるわけです。
…
結論を急げば、20世紀も時代の大きな潮流の中でのひとつの特殊な時代でしかないこと、
20世紀に構築されてきた強固な体制や思想も絶対ではなくフレキシブル、というよりは
脆弱なものであること、20世紀に呪縛されつづけると21世紀が拓かれないこと…
は大前提としておきたい所です。
20世紀に強固にそして華麗に構築されてきたことやものも埒外ではありません。
そのなかには、大企業、高度資本主義経済、金銭至上主義等々なども入るわけです。
…
特に、「経済という言葉があって初めて私たちの生活が成り立つ」といういわば近代の呪縛は
幻想でしかありません。我々の存在があって、そして人間の生活があって、その結果として
表層的な経済と言う現象が見られるということです。そのような捉えかたが、私たちの
21世紀の生きざまを本当に豊かにすると思います。
…
さて、21世紀シナリオの詳細は別項にゆずるとして、21世紀シナリオを語るために、少し
準備をしておきたいと思います。上記で述べたように、20世紀的な常識ではなかなか
21世紀は捉えられませんし、ましてや概念設計などはおぼつきません。そこで、
20世紀的な常識を壊しつつも、21世紀を分かりやすく捉えるための新しい概念を簡単に
紹介しておきます。
…
かつてアインシュタインが「人間は宇宙のことは殆ど知らないが、それでも瞬間的に宇宙全体>
のことは”分かっている”」といった類のことを吐露したと聞いていますが、人間には>
そのように(いつの時代にも”宇宙神の分身としての”)瞬間的な認知能力とものごとを
瞬間的にまとめあげていくという能力とが備わっています。
20世紀はある意味で分業の社会でした、そこではありとあらゆるものが分業化されました。
人間のそういった瞬間的な認知力や纏め上げる力も分業化されました。
しかし、分業化ということが20世紀的な一つの事象として次の時代に昇華していくとき、
改めて全ての人間に全的な能力が求められるようになります。全的な認知能力と纏め上げの
力こそ、”創造の本質”です。その意味で、21世紀は創造型社会になります。
…
20世紀を俯瞰して「機械と画一化の時代」と称するならば、それに呼応して、21世紀は
人間の本質である「調和的な創造の時代」にスパイラル進化します。私はその時代感覚を
「調和的創造=Creation in Harmony;CREAMONY(クレモニー)」と呼びたいと思います。
CREAMONYは人間の存在的な本質であり、時代の核心です。そのなかで人間がもっとも人間らしい
生きざまをすることが調和的創造行為であると思います。そしてCREAMONYの最大の推進エンジン
が「概念デザイン」であると考えています。
…
CREAMONYでは20世紀のように経済資本最優先ではありません。我々人間の創造行為がまず
ありきなのです。そのあとにいわゆる経済資本的な経済が続きます。現実、既存の資本主義を
凌駕する種々の例外的な事項がすでに発生しはじめていますね。
CREAMONYの中で扱う資本は経済資本だけではなく文化的な資本や人的な資本なども複相的に
なってきます。それを「複合資本=Multiphase Capital」と位置づけます。
この複合資本がバランス良く活かされて、私たちの生きざまが真に豊穣になる状態を
調和的創造の生活(調創生活)=CREAMONIC LIFEと呼びたい
と思います。因みにこれの20世紀的呼応が「経済資本主義的経済」になります。
調創生活は20世紀のように経済資本に偏頗した営みではなく、
文化的に非常に豊かな複合資本経済活動になります。
…
とりあえず、CREAMONYと複合資本及びCREAMONIC LIFEという新しい概念の3つを押さえておきましょう。
そして、21世紀を20世紀とは違う別ベクトルでしかも領域の広がった視点で捉えたいと
思います。…Taikoh Yamaguchi
時代は百年単位、千年単位でスパイラルに進化する。
「環境」→「思考」→「技術」→「新環境」と
時代は進化する。
進化した次の時代は旧時代の延長ではなく、全く
新しい時代となる。それがスパイラル進化の特徴。
それぞれの時代や社会は「対象軸」「視座軸」「構造軸」
で捉えられるが、21世紀は20世紀とは違う座標を持つ。
その持ち方は、まるで別次元となるだろう。
今は丁度時代がジャンピングして別フェーズへワープする
渦中にある。
古きことの崩壊、新しきことの発生の連鎖となる。
調和的創造=CREAMONYの本質を描いた
概念構造化仮説”創造の生命場”
(概念デザイン研究所のマーク)
「認識」「発想」「表現」「纏め上げ」そして
「創造魂」によって成り立つ”場”である。
これが21世紀の基本概念ディレクション!