”慧”小論文


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2000年-1月5日…Y2Kの存在意義について…文責;Taikoh Yamaguchi@gainendesign.com

Y2K;いわゆるコンピューター2000年問題は一応”大過なく”やり過ごせた(と判断してもよいでしょう)と言えますが、 それを「泰山鳴動して鼠一匹」とやり過ごすには、明らかに事態は深刻でありました。
さりとて、アメリカの 安全戦略センターが声高に発表した様に、数年前から3000億円以上もの対策費を投入し、人智を結集して対策をしたゆえに ほぼ何事も起こらなかった…と結論付けるのもなんだか憚れる気がするわけです。
ノストラダムスの世紀末予言よりも遥かに 確度の高い情報として、Y2K問題は提起され、最悪のシナリオとして核弾頭の誤射、金融パニック、資産消滅等々の社会的大混乱 が極めて在りうる展開として、そのリスクが問題提起されてきたのでした。

結果的には世界的にほぼ100%近いところで”何事もなく” 無事2000年の1月1日午前零時を通過したわけです。おそらく今後も若干のY2Kに絡む局所的な不備は散発するでしょうが、 結論的にはY2Kは「何事も起こらなかった」ということになります。 これは確かに喜ぶべきことに違い在りません。
Y2K対策費の使いすぎ…、危機感のあおりすぎ…などという些末な議論など打ち捨てて、人類としては心から喜ぶべきこと なのだと思うわけです。…

以前から言及している様に、20世紀という”特殊な”人智に偏頗した時代の最終年に向けてY2Kが現実の問題として沸き起こってきた ことは、ある意味で感慨深いものがありました。この人智的な時代の申し子のようなコンピューターの奥深いところに 「その人智を根底から消滅しうる”瑕疵”が潜んでいた」…というところが現在の人類の現界と、その人類を掌(たなごころ)で 遊ぶ(見守る)大いなる存在の凄さを、表明しているのでした。

個人的にはもっと顕著な社会的不具合が表出するであろうと予想していました。ただ、その事象が過酷な ものであれ、それはそれで21世紀の新生のためには受け入れるべきことなのではないかとも考えておりました。

10年以上も前から、人類が自らが作り出した瑕疵を自らの努力で乗り越えようとしてきた、そのひたむきな姿に対する最大の 報酬が与えられたのかもしれません。

さて、今次の一連のY2K問題の推移に合わせて、色々とその存在意義を考えてみました。…がどうしてもその本質が把握できないままで 1999年の暮を迎えたのです。年末から年始にかけてマスコミは大々的にY2Kの行方を報道し、世界各地の動きを逐一伝えてくるのでした。

と、そのとき全く信じられない光景が目に飛び込んできたのです。アメリカのコロラド州にある核軍事施設;ピーターソン基地が 映し出され、何とその最奥部に軍服姿のロシア軍人がアメリカの軍人と肩を並べて入って行くではありませんか。
テレビはY2Kによるアメリカとロシアを中心とした核弾頭が誤射されることを防ぐと同じに、万が一発射された場合は、それが誤射である ことを瞬時に証明するためにアメリカ軍とロシア軍とが協働体制にて、”アメリカの核軍事施設内にて”対応すると解説しておりました。
この映像はY2K対策の一環として流されたために、マスコミ側もその重大性には気がつかず、極めて当たり前の様にサラっと放映していたわけです。

Y2Kとは人類が自ら種をまき、自らがそれを刈り取るべく、”神が演出した壮大なドラマ”であることが、この映像によって初めて 理解できました。Y2Kとはまさに、このために存在している、といって過言ではないでしょう。即ち、人類が協働で核の誤射を防ぐ という図式を描くことそのことなのです。いくら冷戦構造が終焉し、協働による宇宙開発が進行しつつあっても、「人類の知恵だけでは」 ロシア軍人が最高機密の軍事基地であるピーターソンに入るというような、「進化した人類」を自ら演出していくことは間違い無く不可能でしょう。
それが、21世紀を前にいとも簡単に実現してしまったわけです。おそらく、アメリカ、ロシア両軍事大国の実際的な協働体制はこれを 契機に、あらゆる場所、あらゆる国、あらゆるシステムや施設に伝播していくに違い在りません。こうした動きはきっかけこそ小さくは見えますが 結果的に引き起こす事態は、良い意味で重大です。表層的には”何事もなかった”Y2Kは人類の進化の構造そのものに直接働きかけて 21世紀という新しいフェーズを着実に切り開いたといえます。

何とも壮大なドラマをそこに見た!…というのがY2K問題への今の所感なのです。21世紀はやはり音を立てて大きく変わりそうです。

  


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