”慧”小論文


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2000年-4月29日…レクイエム・フォア・ジョージソロス…文責;Taikoh Yamaguchi@gainendesign.com

4月1日付けの”慧”で言及したジュリアン・ロバートソン率いるヘッジファンド;タイガーファンドの終焉に引き続き、いよいよ大本命であるジョージソロスの クアンタムファンドに幕が引かれました。ソロス氏は既に潔く「敗北宣言」を発表しています。

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《日経新聞記事4月28日付け:ソロス・ファンド、運用担当者が辞任》 「著名投資家のジョージ・ソロス氏が率いる米最大のヘッジファンド、ソロス・ファンド・マネジメントは28日、主力ファンドの運用担当者2人が辞任することを 明らかにした。米店頭株式市場(ナスダック)の急落で主力ファンドの運用成績が大幅に悪化した責任をとる。ファンドが閉鎖に追い込まれる可能性も浮上しており、 巨大ヘッジファンドの行き詰まりが鮮明になった。 辞任するのは主力のクォンタム・ファンドを運用するスタンレー・ドラッケンミラー氏とクォータ・ファンドを担当するニコラス・ロディティ氏。両ファンドは ナスダックの急落で投資していたハイテク株が大幅に下落、クォンタム・ファンドが今年に入ってから約22%の損失を計上するなど運用成績が大幅に悪化していた。」

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私が以前より「金融大魔帝国」の表看板であると揶揄してきた、「直截的マネー収奪システム」であるヘッジファンドとその人的看板がこれで名実ともに終焉を迎えたことに なります。1998年末より「デリバティブとヘッジファンドを封印せよ!」と急告を提言してきた私にとっては、それなりに感慨深いものがあります。 ブラックホール的な金融魔界であるヘッジファンドという構造がこうして封印されることは誠に喜ばしい限りです。金融システムの中では今次のような超高度ハイテクと ソフト、そのための陣容を備えたヘッジファンドは、人間が開発し得た巨魔的な破壊ギアで、原爆の物理的破壊を凌ぐ潜在構造的な破壊力を秘めた怪物と言えましょう。 そのヘッジファンドが21世紀を目前にして実質的に消滅し封印され行くことは、21世紀のわれわれの心身ともに豊かな生活の醸成にとって、祝福すべきことなのです。

それをサイレントマジョリティーの賢明さの賜物とみるべきなのか、それとも所詮人為的な怪物は宇宙の”則を越えられない”と見るべきなのかは、わかりません。 現実として、ヘッジファンドという危うさが生み出す巨大な災厄・大難は過ぎ去ろうとしている…と認識すべきかと思います。

ヘッジファンドの”悪”は、その瞬間的で超巨大な富の収奪と寡占にあり、しかもそれが極めて限られた少数の実在的な人間によって統御可能であるという点なのです。 このような「排他的な一極集中主義」こそがわれわれが学び、かつ排除すべき悪の本質であって、少なくとも20世紀的な世界観の中においては、それがうみだされることは 許されても、21世紀的な世界観の中では、生み出すことすら許すべきでは無い哲学的な本質と対象システムであるということを肝に銘じる必要があります。 そして、そうした原爆をも凌駕する、経済と言う不可視な潜在構造を殲滅可能とするスーパー破壊ギアを20世紀の末において、人間は作り出してしまった…という事実は 永久に記憶しなければなりません。

今、ジョージソロス氏は何を考えているのでしょうか。…少なくとも、少なからず彼を襲っているに違いない「焦燥感」にレクイエムを贈りたいと思います。

  


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