2000年-12月15日…米大統領選挙外伝；終結…文責；Isoroku Noguchi
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アメリカ在住の友人、野口五十六さんが伝える、混迷のアメリカ大統領選挙の舞台裏。
12月10日のＮＹからの生情報です。
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■ ”ゴア算”で願います、、 2000年12月10日 (日)
昨日はフロリダの最高裁のまさかのドンデン返しに嫌気
が差してしまい、寝付きがわるかった。
アメリカ人の大半が昨日でやっと一段落と予測していた
ので、またふりだしに戻した愚直な「法の裁きに」あき
れてしまっている。
ニュースレポーターや評論家も、嫌
な重い気分で報道していたのがよく伝わってきた。これ
からもう一悶着あって、ブッシュになると思うのだが、
ほんと何をか言わんです。
何も書く気にならないので、
ブッシュ陣営の選挙対策本部長ジェームズ・ ベーカー元
国務長官の談話を記しておきます；
「現代史において初めて、１人の候補者が大統領選の結
果を覆すために訴訟に訴え、そしてこのようなことが起
こった。これは非常に悲しいことだ。フロリダ州のため
にも、この国のためにも、そして民主主義のためにも悲
しいことだ」。
■法による屈辱 （１）
アメリカ人はまた法による屈辱を味わった。
アメリカは多民族で構成する人口国家でステイツなのだ。
民主主義の元に三権分立のシステムで国を維持している。
そのシステムが作動しないと、国は混乱し存立の危機と
となる。
裁判所のシンボルの女神像は目隠しをして、左手に天秤
えを掲げ、右手に剣を持った「正義の天秤」です。目隠
しをして、いかなる人種も、宗教も、性別も、貧富も問
わず、法の前に誰も人権が保証され平等であり、天秤で
正義のバランス取り、法により裁く事を象徴しています。
これが「 The United States of America」のはずです。
それが数年前に、アメリカンフットボールの元スーパー
スターだった、O.J. シンプソンの殺人事件裁判の頃から
変質してきています。恐らくシンプソンが殺人者なのだ
ろうが、お金で弁護士のドリームチームを雇い、裁判で
無罪を勝ち取りました。
「金さえあれば殺人しても無罪
になるという事」を見事に実証しました。裁判所の女神
は目隠しをはずし、大金とどんな人たちかを見てしまい、
正義を犠牲にしました。
神の法から離れ、人類が定めた法と裁きだから、絶対は
ないのだが、アメリカ人はその法から屈辱を受けました。
それでもアメリカ人は法で無罪を勝ち取った彼を、許さ
ず社会的に抹殺しました。その後、彼の顔は実に嫌な顔
になりました。神の裁きまで勝ち取れなかったようです。
■法による屈辱 （２）
次の屈辱はクリントン大統領の一連のスキャンダルです。
「法さえ犯さなければ、何をやってもいい」という、弁
護士的な発想です。
一連のスキャンダルを彼は見事に法
ですり抜けてきました。彼はアメリカンの大統領という
権威とモラルを失墜させました。クリントンの「功罪」
のなかで、これが一番の「罪」となります。
アメリカ人はけして彼のモラルを許したわけではないの
ですが、経済も好調という「功」により、任期まではと
我慢したわけです。その意思表示は今回の大統領選挙に
に反映し、アメリカの選挙地図は東北部と西部を残して
ブッシュ勝利で赤く塗りつぶされました。
そしてまた今回のフロリダ最高裁の屈辱です。ゴアが
「法で勝ちさえすればいいのだ」と、ドリームチームを
組んで、クリントンで落ちた大統領の権威に、今度は唾
をかけました。ゴアがクリントンの身近にいて継承した
のは「法の武器」である。しかし一国のリーダーが、国
民の前で法の乱用を見せしめる、これはこの国の衰退の
兆しなのかと憂いている。
アメリカ人が彼を許すわけが
なと思うが。再度、ジェームズ・ベーカー元国務長官の
談話を記しておきます；「現代史において初めて、１人
の候補者が大統領選の結果を覆すために訴訟に訴え、そ
してこのようなことが起こった。
これは非常に悲しいこ
とだ。フロリダ州のためにも、この国のためにも、そし
て民主主義のためにも悲しいことだ」。
