1997年5月5日;資本主義の変調…文責;山口泰幸
参考資料ココ
95年末に著したビジネスシナリオにおいて、上図のようなパラダイム転換については
言及していますが、この事例を考えて見ましょう。
歴史的には95年が政治、経済、文化等のターニングポイントとして位置づけられる
はずです。93年からは転換の予兆が明確に現れてきましたし、95年〜今年97年に
世の中を大きく変えうる具体的な事象が明確に出現しています。
上図の大きな構図の中で物事を捉えれば、比較的容易に先が見えてきます。
ただし、中身は大変な課題が多いわけですが…。動燃の不祥事などもパラダイム転換
のひとつの現れでしょう。因みに動燃問題は核分裂を基本とした原子力利用の根本的
見直しを引き起こすと考えねばなりません。言うまでもなく、核融合特に、低温核融合、
太陽エネルギー、今は未だマイナーな扱いであるフリーエネルギーなどへの本格的な
注力が今後、公に始まる一つのきっかけと見るべきだということです。
さて、本題の資本主義の変調ですが、科学技術の変調と動燃問題というようなアナロジー
で考えると、日本における資本主義に関わる最大の問題はやはり不良債権問題でしょう。
金融ビッグバンは問題ではなく問題を解決するための課題です。
不良債権は私の知人の金融関係者が本音を漏らすように、益々悪化しているようです。
政府が公に10兆円と言っていた時期に、既に100兆円の不良債権の存在は公然の秘密でした。
不良債権の処理機構ができた現在、「喉元過ぎれば…」の感がありますが、実体は悪化しています。
土地の不良債権だけではなく、国の借金も膨れ上がる一方です。
確かに至る所で改善の努力は日夜なされていますが、現実を直視すれば、土地バブル
のつけや国の借金が資本主義の大原理である市場経済の流れに沿って自浄されて行く
とはまず考えられません。ではこれから一体何が起きるのか…。
徳政令;これは政府による公の借金踏み倒しです。つまり債務は無かったことにする。
ということです。徳政令は平安時代に始まり、江戸時代にも何回かあったようです。
ある意味では会社が倒産し株券が無価値になるのも、小規模ながら同じようなことかも
知れませんが、徳政令は国が公かつ大規模に行うということで、次の社会を大きく変化
させる要因になります。徳政令が出た場合、今後運よく生き延びられた銀行は言うまでもなく、
国民にも再びなんらかのつけが回されることになるでしょう。個人も企業経営者も
そろそろそうした大激震に備えはじめねばなりません。
資本主義の根底が揺るがされようが、私たちの日々の生活・生きざまはそのまま続き
ます。私たちが生きていることそのもの方が圧倒的に資本主義という制度より強固
なのです。従って大激震がきても人間が消失するわけではありませんので、あまり
不安は持たない方が賢明でしょう。
情報経済への移行。
93年頃アメリカ財政は95年に完全に破綻するという本が出ましたが、結果はアメリカ
はしのぎました。これはその本の著者が間違ったのではなく、アメリカの経済構造が
工業化社会基盤から情報化社会基盤へとその経済システムをうまくシフトしていった
からでしょう。つまり上図でいうと、パラダイムの重複時に非常にうまくネオパラダイム
に移行しつつあるということです。
アメリカの株価は現在7000ドルの大台を超えはじめましたが、私もまさか7000ドルを
超えることはないと思いました。しかも今の所暴落の大きな火種もなさそうです。
多分これは本物でしょう。そうなると私たちも発想を大きく変えなければなりません。
すなわち、情報経済が本格的に動き出しているとすると、創造される価値は今までの
比較にはならないほど大きなものがありますから、勢い、アメリカの株価は10000ドル
を目指すような、パラダイムシフトを起こす可能性があります。
クリントン大統領の発表では西暦2000年までにはなんと大きな赤字であった国家財政
も赤字を脱しうるとしています。これは情報経済化による税金の自然増があったからだ
そうです。情報化産業といっても単に情報機器やソフトを生み出す産業だけではありません。
モノづくりであろうとコトづくりであろうと情報を創造物に絡めて産出できる個人や
企業が大きく伸長するということです。そう言う意味では、20世紀に情報産業として
栄えた企業こそ21世紀の創造型社会における情報創造の意味を問い直す必要があります。
因みに、コンビニ;これは「情報産業化」されれば更に大きく成長するでしょう。
日本は課題山積ですが、情報産業化が浸透し諸規制が緩和され、日本人のビジネスマインド
や個的な生活様式が進んでくれば、戦後の工業化社会における成功のように21世紀も
かなり豊かな社会を創れるでしょう。あと3年もう少しの辛抱ですね。
この機会に地道に人材開発をしておくことが必要です。
21世紀の日本では文化価値を生み出す企業や、そういう人材を開発したり抱えている
企業が大いに伸長するでしょう。
私は将来の日本を非常に明るく見ています。しかも社会的にもかなり豊饒であろう
とも予測しています。但し、今現在は賢明に頭を使わなければなりません。
特に「意思の設計」をできる人材を今のうちに育成する必要があります。
今何に資金投入すべきか、またそれが一番安全か、
それは、1;人材、2;可能性、3;文化資本化です。その次が貴金属と不動産で
しょうか。もし少し資金的に余裕があれば、是非人脈開拓と形成に惜しみなくお金を
使うことをお勧めします。現在、金融不安もあってか、個人の預金保有高が過去最高
の様ですが、確かにそれも大事なのですが、物への過度な投資を卒業して、
人材や可能性などの不可視な対象に先行投資するような発想の転換が必要です。