”慧”小論文


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1997年12月06日;実質的な徳政令…文責;山口泰幸

5月5日付けの”慧”の中で資本主義の変調と「徳政令」について言及してから早半年 が過ぎようとしています。この間予想通り資本主義の変調あるいは時代の大転換を 表徴するシンボリックな事象が立て続けに起こりました。本当に通常の感覚では 信じられないような倒産劇です。ただし、これはまだまだ噴出するでしょう。

証券や銀行の倒産はある意味では分かりやすい代表選手です。これからの倒産は 建設業、流通業、製造業など実体経済の骨格となるところにあらわれてきます。 その時が日本の真の正念場ということになります。ところで、今回の本旨は徳政令です。 徳政令とは公の権力によって借金を帳消しにするシステムです。古くは奈良時代や 平安時代にまでもそのルーツを探ることができるようです。最も顕著であったのは 江戸時代であるとか。その趣旨は民を救うために税金を免除してあげるということが 基本コンセプトなわけで、それゆえに徳政令というのだとおもいます。

さて、翻って現況の日本はどうでしょうか。5月に指摘したように現実徳政令というべき 公のハンドリングが着々となされています。徳政令というと聞こえはいいですが、 現況の自体は借金帳消し令とでもいうものです。それは民を救うためというよりは 一部の企業や団体、政府自身を救うためのものといえます。生命保険会社の倒産による つけを保険加入者に負わせるということや、公的資金=税金で不良債権処理をする ということや、赤字国債の発行で肩代わりをさせるということなどは全て実質的な 徳政令、否、借金帳消し令の発効です。これをもう少しわかりやすく構造化して 考えると次のようになります。

つまり、1;近代の資本主義経済の基本構造や それの派生構造が本質的に持っている不都合な部分(例えば富の過度な集中を許すや 営利追求以外は基本的に捨象しても構わない等)や、個別企業の不始末や行政の ハンドリングミスなどの「穴埋め」を、2;公的資金や加入者負担という”美名”の もとに、3;最終的には直接、間接を問わず税金というカタチで、4;国民に 背負ってもらい、5;とりあえず経済システムを維持しようということです。 この図式で見れば、今回の都市銀行と大証券会社の倒産劇は、それを巧みに進めるための 大シナリオの一環とも考えられます。

現在の個人資産総額は1200兆円といわれ、これは国民一人当たり、赤ん坊から 老人まで一人1000万円の貯蓄をもっている勘定になりますが、今回の擬似徳政令は 一人当たり500万円をそっくりそのまま、上記の穴埋めに使うことにつながります。 一家族当たりでは平均数百万円から1000万円規模の供出です。第二次世界大戦 末期に日本人は総じてお金や物的財産をお国のために供出しましたが、それに 似ていますね。これだけのお金をだまってお上に献上すれば、赤字国債の殆ど、 旧国鉄が抱える債務、不良債権等々の病弊は計算上では完治してしまいます。 現実日本人はそれだけの蓄えがあります、それを真顔で充てにしてこのような 大シナリオを想定する人は…きっと政府にも政党にも経済界にもいるでしょうね。 いずれにしても、1200兆円という超莫大な総個人資産は使われていきます。

1;擬似徳政令のためにそっくり供出するのか、

2;外国資本に吸収されていくのか、

3;それとも個人ベースで熟慮し未来に先行投資するのか。

個人資産は個人の思惑とは別の次元で動かされて行きます。日本人として どこに資産を活かしていくのか、真剣に考えなければなりません。 ある意味では現況は、太平洋戦争末期に似ているのでしょう。 大本営発表を信じる人はもう殆どいないでしょう。第3次世界経済大戦に敗退 していく状況なのではないでしょうか。

  


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