”慧”小論文


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Conceptual- Design- Laboratory

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1998年4月17日;見えない21世紀シナリオ…文責;山口泰幸

G7に向けて橋本首相が真水で10兆円の減税を打ち出したにもかかわらず、相変わらず 円安、株安、国債安のトリプル安となっています。こうした対策の効果は少し時間が 掛かるとも言われていますが、それにしてもこのお先真っ暗感は一体何なんでしょう。 本題に入る前に、4月5日付けの「警告!悪魔のシナリオ」の補足をしておきます。 4月16日のNHKクローズアップ現代で、山一証券自主廃業に関する調査委員会報告 が放映されました。確かに最終的に1200億円もの負債を抱え、しかもムーディーズ による格下げ評価のあおりで、もはや抜き差しならぬ状況であったことはわかります。 しかし、それでもどうしても「山一潰し」は合点が行きませんね。

1997年11月に長野証券局長が、泣いてすがる野沢新社長の「何とか助けて欲しい」 という懇願を一蹴し、「自主廃業しなさい!」と言ったとのことですが、これは 摩訶不思議なことです。長野氏がうそをついていたというよりも、何故、「たかが 1200億円の負債」であの山一を実質潰すように仕向けたのでしょうか。 大蔵にとって1200億円などポケットマネーでしょう。他に十数年も巨大な負債を 抱えながら、生き延びてきている企業は沢山あります。どう見てもこれは不自然です。 1200億円の負債があり、企業経営が行き詰まったから、「山一が潰れた」のではなく 「山一をこの際潰しておく」ことに何らかの戦略的な意図が潜んでいたと考える方が 妥当です。大蔵は山一を象徴的に切ることで何かを得ようとした、あるいは外部の 作為にまんまと乗ってしまったか、知っていてそれをしたということでしょうか。 いずれにしても山一は金融代表として戦略的に始末されたと思えます。7500人の 従業員と家族がその犠牲になったことは記憶に長くとどめておきたいものです。 流石に、その後メリルリンチが70%近い従業員を引き受けました。見えない世界で 経済大戦が繰り広げられているという図式ですね。このような図式で見れば、やはり 現況のトリプル安も意図的に仕組まれていると考えられなくも有りません。 日本に浮遊している1200兆円もの資金をある程度流出させて初めて、株価も円も 値を戻しはじめるのではないでしょうか。

さて本論に入って、問題はもう一つの大きな問題です。上で述べた戦略は比較的大きな 要因ですが、本質ではありません。時代の変遷の中で、上記の戦略を助けるように働いて 居るのが日本人の時代のムードです。仕事が無い、買いたいものが無い、株が安い… といったことのさらに深層に、未来の不透明さに対する潜在的な不安が渦巻いています。 ようするにそれが見えないからやる気がおきない、自分の生きざまが描けないという ことではないかと思います。正直言って、今若い人で年金に期待をしている人は殆ど いないでしょう。団塊の世代でどうやって超高齢化社会を乗り切るかを悩まない人は 少ないでしょう。今の教育や病院などの既存の仕組みがこれでいいと思っている人も いないでしょう。要するに、日本人全体が自分の人生を託せる未来シナリオを描き切れていない ということなのです。直裁的な経済対策も必要でしょうが、もっと根本の、人間存在に 関わる指針が必要なのです。少なくとも、そういう本当に本音で必要な指針を、3年 以内にきちんとつくろうと呼びかけることでも今は大切です。あるいは21世紀らしい 芽の事例を探してそれを日本人にプレゼンしていくことも重要です。

1998年現在、世界経済大戦に敗戦した日本という図式の中で、今次失ったものは 物でもお金でもなく、人間の心や生きざまといった生存哲学なのです。その復興こそが 一番の経済対策なのではないでしょうか。

  


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