”慧”小論文


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1998年4月18日;デリバティブの本質…文責;山口泰幸

デリバティブ=金融派生商品という言葉が最近飛びかっています。この本質について 考えて見ましょう。デリバティブはそれによって英国のベアリングズ社やアメリカの オレンジ郡が財政破綻をきたしたということで有名に成りました。私も直接これに 手を出したことはありませんので詳しいメカニズムについては素人の域をでません。 しかし、どうもこのデリバティブが今後の庶民の蓄財を一気にかっさらって行きそうな 予感がしますので、その概念を整理しておきたいと思います。

まず、金融とは資金を融通する「サービス」です。それ自体は生産性を持ちませんが 融通を受けた人がそのサービスを活用して新たな生産=価値創造を為し得たとき、 その価値の幾分かをサービス料として融通してくれた人にプレミアムとして戻すことに よって最初の資金が新しい資産を増殖させるわけです。簡単に言えばこれが利子で、 借りる側の価値創造努力があって初めてプレミアムを生み出す新しい実際の原資が 生まれます。通常の株式投資や預金などは基本的に、こうした借りる側の新たな 生産活動という裏付けがある資金の再生産になります。価値創造は必ずしも 物の生産だけではなく無形のソフトやサービスや芸術活動なども幅広く含みます。

さて、デリバティブもうまくやれば基本的に利ざやが稼げます。が、通常の投資 の利子と基本的に違う所は、デリバティブは新たな生産活動の裏付けが無くても 利子を生み出すシステムであるということです。勿論生産活動に裏付けされていれば 言うことはありませんが。…で、デリバティブは投資ではなく、投機が基本的な 性格であり、ありていに言えばデリバティブとは「ギャンブル」に他なりません。 実体経済とその価値増殖に根拠を求める通常の投資は低周波でゲインは小さいものの 確実に利子のゲインがポジティブであるのに対して、デリバティブは超高周波でしかも ゲインが極めて大きく、しかも勝ち負けが必ず付き物であるということです。

私に言わせればデリバティブとは丁半博打のようなもので、大きく勝つときもあれば 大負けすることもあるものです。デリバティブは一度やったら抜けられません。 それはデリバティブを安定にするためには丁半両方とも多額の掛けをすることになるのと 高周波で勝ち負けが訪れるために、年度〆のある企業には締め切り日直前に大負けする 可能性があるからです。本当のギャンブラーでなければ、丁半博打には手を出さないか あるいは、損得無しで丁半両方に同額を掛けるということにするはずです。 いずれにしても、一番儲けるのは胴元ですね。金融の世界では投資顧問会社であり 銀行や証券会社ですね。しかも既に相当の訓練を積んでいる外国資本の胴元が一番 儲かるのです。再度言います。デリバティブは良かれ悪しかれ生産性の裏付けの無い ギャンブルです。ギャンブルに手を出すのはアナタの好みです。

しかし、困ったことに金融ビッグバンで怒涛のように乗り込んでくる外国の証券や銀行 は高利率の投資信託などで誘惑してきますが、彼らの運用の中核にデリバティブが戦略 としてあるということです。ハイリスクハイリターンを楯に自己責任を問うてきます。 一般庶民のささやかな夢は、8%位の1年定期預金くらいだと思いますが、 当面2001年まで、外国資本による高利率の投資(実体は投機)にはくれぐれも 注意しましょう。一番いいのは、デリバティブではなく、ちゃんと将来性のある 成長過程のニュービジネスに投資することではないでしょうか。

生産性に裏付けれらた高利回りを実績として上げてきている投資顧問や銀行・証券 ならば年利率10%位の投資を期待できます。価値創造による高利率には敗者はいません。 デリバティブには勝者もいるかわりに、必ず敗者が存在します。誰かの犠牲の上に 成り立つ高利率がデリバティブの正体です。お金に余裕があってギャンブル好きな人 以外は、デリバティブは極力避けたいものです。特に大企業はそうですね。 これからの大企業は他者の犠牲を前提にしてはいけません。また、ギャンブルに頼って 年度経理をこなしてはいけません。ひたすら価値の増殖にいそしみましょう。 個人も企業もそれが一番効果的に迅速に豊かになる手段なのですから。

  


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