”慧”小論文


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1998年4月28日;本当の資産とは何か…文責;山口泰幸

榊原財務官が珍しくTVで、「この30兆円に及ぶ特別対策は必ず奏功する!、 基調は円高、株高に反転する!!!」…と喧伝していました。確かに私も長い目で 見れば、そのとおりだと思います。しかしそれでも昨日の今日で、円安、株安は 続いています。しかもまずいことに、報道はそれほどされていませんが、今、日本からは 個人資産が津波のように海外に流出し始めているようです。私の直観としては、やはり このような何か不自然な(根拠が良く分からない)状況の時には、何か巨大な恣意が 裏で働いていると見た方がいいのではないかと思います。但し、その是非論はまた 次元が異なりますので別の機会にしましょう。

事実認識として、以前から申し上げているように、あの魅力的な日本の個人資産、総額 1200兆円の多くが今、海外に流れはじめています。この流れはある程度の日本人に 資産の増殖を約束するでしょう。…が、基本的にデリバティブのハンドリングを基調とした 外国資本への資産預託はリスクを伴います。それを見極めた上で、外債や投資信託を 買いましょう。…さて今日の本論は「資産とは」についてです。

資産とは一体何なんでしょうか。土地、家、金塊、自動車、そしてお金…等々。 その通りですね。資産は投資されたときに初めて資本として生き、その資本が巡り巡って 新たな利益をもたらします。従って、資産が活用されないときには利益は生まれません。 一番分かりやすい例が銀行預金ですね。これはあなたの資産としての現金を銀行に 預けるというかたちで投資をしてそれに利子というカタチで利益を還元させる方法です。 自分の土地にアパートを建てそこから利益を捻出していくのも同じです。

ただ、資産には注意すべき重要な特徴があります。資産はそのままにしておくと 基本的には何も生み出さないかあるいは価値が減少するということです。一時期土地や 自動車までもが持っているだけで値上がりするという状況がありましたが、あの場合は それらの対象がたまたま投機的な対象になってしまったと考えるべきです。

要するに資産は基本的に「活用しないと」資本化されず、従って富も生み出しません。 また、上記のような資産は特に価値観総体による裏付けで成り立っており、それが 崩壊すると無価値になってしまうということです。

では資産を守るにはどうしたらいいのでしょうか。巷間の経済指南本などでは、三分の一 は箪笥貯金がいいなどと言っていますが、まあそれも一理はありますが、基本的に 現金ですら上記の資産の特徴、あるいは弱みを持っています。

資産を守る最も分かりやすい方法は、「資産の腐りにくさ」とでもいいましょうか、 如何に強固な資産に今の自分の資産を移行しておくかということになります。 資産は経済を直接動かす資本になり得るわけですが、資産を本質的に考えた場合、 必ずしも物的な対象に限定することはありません。例えば、評価額10億円の 遊休土地を担保にようやく銀行から2000万円借りられた人と、無担保で 5000万円その人の信用のみで借りられた人とでは、その資本生成能力は 倍以上も違います。ある意味では後者の方が人的資産持ちと言えます。

結論を急げば、今日の私の提案は現金や株などの物的で「腐りやすい」資産を 人的な資産にある程度移行しておいたらどうかということです。つまり、資産とは 新たな資本を生み出すための蓄財ですから、何も物的な資産だけに頼らなくても いいということなのです。人脈やその個人の能力や魅力等は非常に有能な不可視な 資産なのです。物的な資産だけでなく不可視な人的な資産に投資しておくことも 資産を守るためには大切なことです。人的な資産が有効な理由は、それが他の物的な 資産に比べれば遥かに強固だからです。株券はいつ消失しても不思議では有りません。 現金も為替変動や金利にはすこぶる弱い存在です。特に現金は盗まれたらそれで おしまいですね。それに比べ人脈や人の魅力はその人がいる限り、増殖こそすれ 目減りすることはないという極めて強固なものです。

ですから…、下手にデリバティブや高利回り金融商品に投資をするくらいなら、 自分の人脈や魅力を増やすために投資したほうがいいわけです。それはけっして 消費ではなく、未来への人的な資産増殖になるからです。 もし仮に全ての物的な財産が失われたとしても、人脈と人的魅力は失われませんね。 経済とは経済学がなすものでもなく、行政の経済対策が運営するものでもありません。 それは人間がいてそこに創造と交流がおこるところに発生するわけです。そのときに まず働きはじめるのは人的な不可視な資産なのです。

  


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