”慧”小論文


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Conceptual- Design- Laboratory

概念デザイン研究所の立体登録商標;「創造の生命場」
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1998年6月2日;デフレということ…文責;山口泰幸

デフレ=デフレーションについて分かりやすい比喩で考えてみます。 インフレ=インフレーション=膨張の反対がデフレ=収縮です。何が収縮するので しょうか。それは物の価値ですね。物理的な物自体が収縮するわけではありません。 物理的な物が存在しているにも拘わらず、その価値が収縮する、それがデフレです。 いわば、人間の体で言えば贅肉です。人体における脂肪も生命活動には重要な役割 を果たしますが、それが増えすぎて必要なくなってくると、贅肉=無駄として 価値が減少します。…が脂肪は体に残ったままです。脂肪は溜まりすぎてくると 色々な成人病の原因になります。また、血行障害を起こして脂肪細胞そのものが 壊死することもあるでしょう。そういうふうに、価値が減少したものが、存在したまま 腐りだすこと、それがデフレと考えていいでしょう。資産とデフレは違います。 同じ脂肪でも冬眠する熊の脂肪のようにいずれ消費されるために蓄積された脂肪は 資産となりますが、それが放置され手の付けようがなくなることがデフレです。

さて、デフレ=物あまり現象という言い方がありますが、これは正解ではありません。 デフレのときにも物は不足しています。つまり本当に欲しい物あるいは商品、資産 が無く、そのかわり価値のない存在が放置された状態がデフレです。従って 現在の日本のように一見物が溢れているかのように見える状況でも、本当に欲しい 物が不足していると言う意味では、もの不足なのです。いらないものが沢山放置され それが腐り始めている、その替わりに本当に欲しいものがない…これがデフレの本質です。 ではどうすれば、これを脱却できるのでしょうか。方法は色々とあります。

デフレスパイラルという経済上の心筋梗塞を防ぐためには、まず、先ほど言った 本当の物不足を解消する必要があります。つまり時代に則した良い商品づくりにほか なりません。これで当面経済が回転するようにしながら、デフレの元凶である 放置された無駄を消化しなければなりません。その最もよい解決策は価値観を変えること でしょうね。ごみという概念を無くし、無駄なものがある瞬間からとてつもなく 貴重な材料になるような工夫をすれば、この世から無駄の放置はなくなります。 宇宙の原理の中に無駄と言う概念やその永久放置という概念は存在するのでしょうか。 宇宙は全ての資源を大切に循環させながら使っているでしょ。つまり、宇宙全体では ごみという概念そのものが存在しないわけです。

デフレはそういう意味で非常に人為的な結末といえます。これを根本的に解決するには 「世の中に無駄なもの無価値なものは一切無い」という発想の転換と、「万物は循環する」 という哲学と、そして「本当に役に立つもの、欲しいものを創造しよう」という 考え方を展開しなければならないでしょう。そういう意味でデフレは一種の人為的な 妄想です。いつでも物=商品は不足しているというのが真実です。そのために わたしたちは常に創造しつづけなければならない存在なのではないでしょうか。 これからは単に物的な商品だけではなく、人間の精神に直接訴えかける 不可視な商品も創造し続けなければなりません。

現在デフレの対象となっている物は本来価値のないものではないはずです。それを 有価値に生まれ替わらせる努力と智恵が本当の豊かさをもたらします。なにせ 材料は「デフレ」として世の中に沢山あるわけですから。

  


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