1998年6月3日;経済敗戦と経営の極意…文責;山口泰幸
山一証券がスケープゴート的な廃業に追い込まれ、メリルリンチに結果的に
吸収されて以降、いよいよ本格的に製造業を巻き込んだ経済戦争が欧米から
仕掛けられてきました。日興証券が実質トラベラーズに「吸収され」、日産ディーゼル
がダイムラーベンツに買収され…次はデパートかもしれません。
要するにこの状況は昭和20年の3月の東京大空襲以降の状況に酷似しています。
最後の切り札は一体何になるのでしょうか。沖縄上陸及び原爆は何に匹敵するでしょうか。
ある意味で既に沖縄上陸は終わったかもしれません。良い比喩では有りませんが
おそらく原爆に相当するものは、株価大暴落かデリバティブによる徹底的な破壊です。
破壊と言っても日本の大企業が中心ですが。
とは言っても太平洋戦争敗戦後の日本のように賢明なる日本人はまた別の次元で
復活すると信じています。今は確かに地球規模で仕掛けられた経済大戦に負けようとして
います。ほぼ決着がつきました。これからは欧米の企業に「抱かれる」のもやむを得ません。
民族企業だけで何とかしのぐというのも大切です。ただし、いずれにせよ智恵を
働かせなければなりません。そのポイントを考えておきましょう。
今色々な企業が声高に企業革新の戦略を言い始めています。外国企業との提携あり
大胆なリストラ策あり、持ち株会社化あり、子会社への資本強化あり…と
かなり抜本的な手が打たれはじめています。
が、ここでもういちど基本に立ち返って考えてみましょう。今あげたような策というのは
極めて大胆で抜本的では有りますが、企業経営の一部でしかありません。そこが
一番心配なところです。企業経営には、特に21世紀の企業には、次の柱が必要です。
1 「商い」2 「始末」3 「種蒔」4 「観る」5 「語る」
ところが現況表明されている企業革新策とは2の始末が殆どで、それに1の商いを
添えた程度です。これを抜本策として声高に大きな柱であると発表していますが、
端的に言えば、1と2は規模の大小を問わず、「当たり前のこと」なのです。
それよりも大切なのは3の種蒔、これによって21世紀にどのような新しい商品を
創り出そうとしているかということが見えてきます。勿論この中にはそのための
インフラ整備に関する言及も必要です。さらに、3を言うための4の21世紀をどう見るか
という世界観と5のそこでどのように生きていくのかという「企業の生きざま」を
雄弁に情報発信しなければなりません。
残念ながらここまで言い切れている企業はひとつもありません。あるのだが今は言わない
ということではなく、おそらく3、4、5が皆無であろうと懸念される場合の方が
多いのではないでしょうか。
外国企業と対峙するにも、融合するにもいずれにしても、上記の1〜5は21世紀の
企業には必須なのです。特に本当の豊かさを実現するための最強の柱である、
3の「種蒔」についてはエネルギーを半分以上使ってもいいくらいです。
それは、21世紀が創造型社会になるからです。