1998年6月24日;金融大魔王の正体その2…文責;山口泰幸
昨年は”慧”を情報発信する機会が大体1ヶ月に1回ぐらいでしたが、最近は毎日のように
書かざるを得ません。それだけ世紀末に来て際どいことが日常茶飯になってきたという
ことだと思います。さて今日現在で既に述べてきたようにあっというまにまた円が140円
対ドルを割り込んで(140円以上になる)きました。当然ですね。ただし、本質的には
この円の乱高下は裏側の意図なくしては絶対に演出できません。そのことをもう少し
補足しておきます。円ドル為替レートを変化させうる市場の潜在圧力は今日では数百兆円
規模存在していると言われています。それに対して日米協調介入(本当に介入したかどうか
は不明ですが)の規模は数十兆円で10%程度です。この図式の中でこの数日間で円が
一気に10円も安くなり、また2〜3日の内に5円も戻しています。これを日米協調介入
の効果と言って憚りませんが、これは明らかに間違いですね。市場の圧力が正常に働いていたら
協調介入だけでは絶対に10円の乱高下は不可能なことはお分かりかと思います。
では何故円は10円も1日で下げたのでしょうか。それは協調介入という市場メカニズム
がそうさせたのではなく、日米(殆ど米側)が市場圧力の胴元「金融大魔王」に
「お願いをし」、そう演出させてもらったということでしょう。では、なぜか。
「金融大魔王」の一番好きなことは、生かさず殺さず絞り上げるだけ絞り上げることです。
そして一番困ること、それは絞り上げる相手が本当に死んでしまうことです。ついでに
困ることはと言えば、言うことを聞かない奴の存在です。この図式の中で、あまりに
やりすぎると日本経済が死んでしまうかもしれないという懸念が生じたのでしょうね。
で、とりあえず日本経済が自閉的に縮小するのだけは押さえておきながら、少しの猶予
の間に経済の新インフラだけは整備しておきたいということでしょう。
結論から言いましょう。「嵐の中でも時間は過ぎ行く」という格言通り、日本の新しい
経済インフラは”整いました”。少なくとも7月には100%整備されます。ただし
市場や経済評論家がどうゆうふうに言うかは全く別の話ですが。傷口がカサブタで覆われ
た時には既に次の新しい皮膚が形成されています。それと同じで、1998年の6月
にはカサブタができたということです。…ところで、金融大魔王としてはそれはそれで
すごく喜ばしいことなのですが…なぜならば新しい金融システムの方が圧倒的に効率的に
集金できるからです。しかし、金融大魔王はそれをあからさまには言わないでしょう。
「悪」がもっとも喜ばしいのは、体が健康で精神が不安定な対象なわけですから。
従って、日本経済自身が本当は自分は健康を取り戻せたのだという自覚をするまでは
金融大魔王側は、円安を演出するために、日本経済および日本の対応の不備を言い続ける
でしょうね。それは前述のように300兆円位日本から吸い上げるまで続くのではないでしょうか。
21世紀のための最低限の経済システムの再構築は何とか目鼻がつきました。次はいよいよ
21世紀のビジョンづくりと実行具体策作りですね。そのためには「状況の正しい認識」が
不可欠ですし、日本の21世紀のための適切な投資が大切です。くれぐれも金融大魔王の
恫喝とマジックに躍らされることなく、また、いたずらに大切な日本の資金を流出(流失)
させることなく、日本とアジアのためにまずは使いましょう。そのためには、自己中
(自己中心)になって自分の資産だけは何とか守りたいという”せこい”動機は捨てて
能力ある若い日本人に投資を振り向けましょう。きっとそれが巡り巡って豊饒をもたらします。