”慧”小論文


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Conceptual- Design- Laboratory

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1998年6月25日;自動車産業の行方…文責;山口泰幸

20世紀に精緻華麗に咲いた高度資本主義経済。その最も美しい花である大企業の さらに代表選手が自動車産業です。20世紀のたった100年間で地上にこれだけの 新しい移動生命体を生み出した自動車産業は薔薇でありドラマであり神秘なのです。 その自動車産業がその「20世紀的な使命」をドラマティックに終焉させようと しています。自動車産業については触れなければならないことが山ほど有ります。 今後、少しづつ21世紀の自動車産業について言及していきたいと思います。

まず、手始めに、日産が打ち出した「完全受注生産方式」について述べます。 自動車産業が自動車という固体の移動商品を生産し売るという図式は、21世紀に なると大きく変わるでしょう。単品を発散的に大量画一に生み出すというおなじみの 生産方式は、いつのまにか物をうみだす常識のごとくなっていますが、実はこれは 20世紀特有の生産方式でしかありません。顔の見えない平均像としての購入者を マーケティングと称して「生産側が適当に定め」て、そして売れるはずだという 思い込みに基づいて大量に安くつくるというのが大量画一生産方式です。勿論 20世紀のこの方式はそれなりに大いに物をはびこらせるのに役に立ちました。 中には、本当に顧客の心を読み取るのがうまくて、大量生産でも完売させる優れもの もあったことも事実です。しかし、20世紀がここまで物を溢れさせると、結局 本質的なニーズの微妙な差異が深刻な商品不足を生み出します。前述のデフレの本質 でも言及しましたように、今は実は物が溢れているのではなく、大量生産方式で勝手に 送り出したものが行き場を失って腐りはじめているということです。終局、人間の 顔が60億人全て異なるように、個々人が欲しがる商品も全て個々人で違います。

自然の構造は実に良くできていますね。自然は「結果大量」ではあるものの、同じ種類の 物でも全て少し違うでしょ。あれが生産方式の極意ですね。また、自然は極めて宇宙に 存在する塵芥を実に大切に循環的に、工夫して創出していますでしょ。あれも極意です。 ポイントは「生み出されるもの」が「如何に祝福されて」、そしてすべての欲しがる人の 手に渡るのかということになります。確かに自然の生み出すものの多くの部分は人に 利用されることなく消滅していきますが、ちゃんと循環して次の創出に役立ちます。

というわけで、21世紀の生産方式は基本的にこの自然の生産方式の極意に学ばねば なりません。生み出されるものが全て誰かの手にわたるということがひとつのポイント です。この具体策が「完全受注方式」なわけです。勿論このためには受注から納入まで 迅速で正確でかつサービスに溢れた生産と流通が不可欠です。でもこれは達成すべき ことなのです。商品が受注されて喜ばれて完売されていく…これが最高なのです。

日産が今回打ち出した完全受注方式はそういう意味でまさに21世紀の新しい社会の 基盤を形成する優れた戦略です。最近あまりふるわない話が多い日産ですが、こうした 21世紀を先取りした戦略が連綿と漏れなく打たれるならば、日産の新生の可能性は 高いものになります。ただし、これだけではいけません。21世紀的な基盤作り 哲学形成にはまだまだ重要なものがいくつもあります。それはいずれ言及していきますが、 是非とも「創業的出直し」という理念の中で企業自身で21世紀を切り開いてもらいたい ものです。一つが見えてくれば、そしてひとつでも切り開けてくれば、まるで目から鱗が ぽんとはずれるように、怒涛のように日本の企業群は新生されはじめます。

21世紀には自動車産業は基本的に溶融されていきます。これは自動車産業がなくなる のではなく、近代工業化社会の権化あるいは花としての自動車産業が、その特性を生かしつつ 21世紀に向けてメタモルフォーゼするということです。自動車という単品を発散的に 大量画一的に生産する自動車産業を止揚して循環的なトータルモビリティサービスを 果てしなく創出しつづける企業へと進化しなければなりません。そのとき「〜自動車」 という名前など捨象してしまってもいいではないですか。期待を大いに込めて叱咤激励を を送ります。21世紀は20世紀とは次元が複相的に違うということが見えれば簡単です。 そしてやることはいっぱい有りすぎるくらいあります。

  


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