”慧”小論文


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1998-8月7日…破裂する資本主義…文責;山口泰幸

資本主義というのは近代という時代が発明した優れて華麗なシステムではあります。 人間がその個である存在を凌駕して新しい生命体とも言える大規模組織を形成する ためには必要で不可欠な経済システムであることは間違いありません。ただし、資本主義 はあくまでも人間が人工的に作り出したシステムであり、それは永遠のいのちを与えられた 絶対的なものではありません。そういう意味では学問や技術、哲学についても すべからく相対的で進化していく”人工物”でしかありません。資本主義のそうした人工物 としての脆弱さを持つ”かよわい”存在として見ておく必要があります。既に前述したように いわゆる経済はわたしたちの存在や生活総体を、あつかましくも先行し、凌駕できうる 存在ではありません。まして近代工業化社会というほんの一時代を席捲しただけの 「資本主義」というシステムはわたしたちの存在をリードできるだけの格と力量を 持っているわけではありません。つまりそんなものに躍らされずに清々と生きることが 本来は人間らしくて賢いわけです。まあ、そうは言っても現実家のローンは抱えているし 子供の教育費もまだまだ稼がないと…というのが実態だとは思いますが…。

蛇足ですが、現状抱えている巨額な家のローンも、子供の教育費も実は、この近代工業化社会 が精緻華麗に育て上げた資本主義の賜物です。大きな一軒家が立てられるのも、そして 突然のリストラでローン地獄にあえぐのも両方ともに資本主義の”賜物”なのです。

その資本主義がもう破裂寸前なのです。

資本主義の最大の特徴は、やはり富の巨大集中ですね。このことによってあらゆる資本主義的 現象やメリットが生じてきます。そして皮肉にも富みの歪んだ集中とその運用が資本主義経済 下の諸生活を牽引していくという事実があります。私たちの物質的な生活は確かに平均的に 上昇はしているのでしょうが、実態としての富みの集中度は特にアメリカにおいて 異常に偏ってきています。それがここ数年で、「金融経済」と「実態経済」の乖離現象として 明るみに出てきたわけです。ほんの10年前までは、確かに富みの集中はありましたが それはあくまでも「実態経済」の中での富みの集中であったと言えます。この場合、物質的 な不均衡や不平不満は当然生じますが、そのことがすぐにわれわれの実際の生活を崩壊させる ものではありません。ところが、この10年、特にここ3年で状況は一変し、まさに資本主義 が最終の崩壊章に入った…と言っていいわけです。

あなたには10兆円というお金が想像できますか。私にはできません。数字が目の前にあるだけです。 物理的には10兆円とは10m×10m×10mの体積にびっしりと一万円札が積めこまれた状態です。 1日に100万円を散財しても何万年も使いつづけないと消えない額です。よろしいですか、 その10兆円を市場介入させて動く為替レートが約+−1円・ドル位です。さて、先日アメリカが 声高に10円・ドル以上の円高誘導を市場介入して演出して見せましたが、そこに動く裏金は 1日で100兆円規模です。これは日本の年間GDPの5%に当たり、しかもその巨大な金額を 一部の特定の組織や個人に動かされてしまうのです。金融経済が実体経済から遊離し、しかも その存在が世界各国(残念ながらドルが基軸通貨なため)の政治にまでも影響を与えているのです。

これは、例え宮沢さんが老骨に鞭打って本当にがんばって、ようやく何とか120円・ドルまで 日本を持ち上げても、作為的に一気にいつでも10円以上の円安を演出して、宮沢さんを潰すことが 可能なわけです。まあ、こういう図式に知ってか知らずか日本のマスコミの殆どは尻馬にのる状況 なので本当に困ったことなのですが…。

いずれにしても1990年代は資本主義時代とも違う、「金融魔界時代」と覚えておきましょう。 そしてその「金融魔界時代」も実は、それが内在する問題によって崩壊していきます。そして 21世紀にふさわしい、新しい概念の経済システムが構築されていくでしょう。

ところで、本日の結論は、そういう時期には「あからさまな劇的手段が講じられる」という警告です。 最近の金融大魔王側のマスコミを通じての日本非難は下品であからさま過ぎます。まあ、それで すっかりとそのその正体が見えてしまったのではありますが。

まず、一介のアメリカ人記者が、新しく誕生した宰相を、TVを通じて公然と「無能」呼ばわりしました。 また、最近とみに補佐官だの長官だのとわけのわからないポットでの人物が、公然と日本政府に 注文をつけてきています。そのさまはあたかも属国、占領下の敗戦国ですね。世界から見れば 日本は完全にアメリカのというよりはアメリカ政府の持ち物でしょうね。

現在、約30兆円〜50兆円規模の日本円が外国債権等の資産を買うという形で海外に流出しています。 1昨日アメリカ株式が市場3番面の下げを記録しましたが、いよいよ本格暴落が来ると考えておいた 方がいいでしょう。はっきりいって金融大魔王側はアメリカ市場がつぶれても気にしないでしょう。 それよりもわが身が儲かることに腐心します。また、この先は大ユーロ市場もありますし。

アメリカが暴落すればドルはおお下げです。そのときなにが起こるでしょうか。相対的な円高ですね。 30兆円で買ったアメリカ債権は円高によって、10兆円くらいになります。ようするにアメリカと いう不良債権・資産に今一生懸命日本人は投資をしていることになるでしょう。 私は良いとも悪いとも言いませんが、この流れの根本は、私の資産だけは何とかしたい…という 「自己中」の精神です。それが必ずその「自己中」の精神に降りかかってくるというのは、天の 理なのかもしれません。今投資すべきこと…それは日本の未来を概念設計することへの投資です。

新しい次元で日本が良くなれば、アジアは救われます。そしてそれは世界に波及するでしょう。 もうこの辺でアメリカという”若い”国に迎合し真似することはよしませんか。彼らの短すぎる 文化は本当に21世紀の地球にこのまま役立つのだろうかというと…きわめて疑問です。

  


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