”慧”小論文


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Conceptual- Design- Laboratory

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1998年-11月3日…21世紀経済のデザイン-6-太陽系視座における地球経済…文責;山口泰幸

私が日頃よりよく使う言葉に”収奪”というのがあります。収奪とは不法に他人の財産を奪うことに他なりません。
こうした過激な言葉を国際経済における資金の流れに関して使うのが果たしていいのだろうかという若干の懸念もあるのですが、現況の構造を単純に見ていくと、やはりそこには”収奪”と言う言葉が最も相応しい状況があるわけです。
国際的な資金の流れは、まるで物理現象の電流のように電圧の高い方から低い方へとまず間違いなく流れていきます。お金も同じです。ただしお金の場合は金利が電圧であり、金利が高い方が電圧が低く、即ち吸引力があり、金利の低い方が電圧が高い、即ち放出力があるわけです。
現在、国際的な資金は金利の高いアメリカ市場へ殆ど世界中から流れ込んでいます。その代表例がアメリカ対日本の構図です。ご存知の通り日本の金利は現在、”アンビリーバボー”とでもいうべき超低金利で、アメリカとの相対的な金利差は最も大きくなっているといえます。この金利差=電圧差を利用して、アメリカは日本の資金を「実物を売ることなく」アメリカへと吸引しています。
ものすごく好意的に見て、アメリカが「高金利という未来の資産」と「基軸通貨としての安定性」とを商品として売っており、それを日本が買っているという図式に見れなくもありませんが、その場合でもその「幻の商品」は、貿易収支には反映されず、結局実物をより多くアメリカに供給している日本が「貿易黒字」を批判されるという構図になるわけです。
しかし、実際にはアメリカはアメリカ人が使うマネーを金利差というマジックによって国際的に入手しており、それが借金であろうと無かろうと、その資金を使うことができるわけです。それが、アメリカは借金によって浪費とギャンブルに走っている、と言われるゆえんです
さて、日本の低金利で困っているのは誰でしょうか。銀行では有りません。銀行は預金金利と貸し出し金利に十分すぎる金利差を儲けていますので、この低金利であってもなんら困ることは有りません。
やはり一番困っているのは年金を銀行に預けその金利の多くを生活の足しにしている高齢者に他なりません。
つまり、高齢者の年金の金利分を日本の銀行経由でアメリカが吸引しているという図式になります。まあこの時点では流石にまだ”収奪”と言う言葉を使うわけにはいきませんが…。
アメリカに流れ込んだ多額の資金はアメリカの銀行や証券会社、そしてかのヘッジファンド等を通じて世界中に再投資されて行きます。その再投資された巨額なマネーは世界中の実物経済の進展に貢献することもありますが、ここ数年の動きを見るとそのマネーは投機的に使われ、あるいは作為的に他国の相場を持ち上げ、そしてその後は大暴落させることでマネー自身を太らせることで帰還して来るわけです。1989年末から翌年初アメリカの銀行や証券が大量に日本株を売り浴びせ(そのとき彼らは早々と空売りをしていましたが)、今次のバブル崩壊に繋げました。バブルの崩壊といっても、不良債権と言っても、損をした人ばかりではないのです。必ず同じ額を設けた輩がいるわけで、今次のバブル崩壊では日本人の多額なお金が日本以外に流れ去りました。
この図式こそがまずは第1の”収奪”なのです。そしてその結果、結局は長銀が国有化され、長銀株は無価値になり、税金というカタチの新たな余剰資金が海外にそのまま吸引されていっているということなのです。 銀行救済のための資本注入資金はある意味で、アメリカを中心とした「金融マフィア」に”追い銭”として日本人がたいまいの税金をそのままくれてやった…という理解でよいわけです。
現代の資本主義の運営システムが未熟なせいも多分にありますが、いずれにしても私が揶揄する”金融大魔王”という国際金融テロリストの一群はアメリカという場をフルに活用して、何らの実物の富を生み出すことも無く ただ金融の概念操作によって見事に他国の貴重な富を”収奪”しているわけです。彼らが売った商品とは 暴動や混乱、失業率の高騰など”負の資産”であるわけです。
私が何故”収奪”という過激な言葉を使ってまでこうした状況を述べるかというと、それが現代の資本主義の本質的な瑕疵(かし;隠れた傷)であって、それを対症療法的にではなく、構造的かつ理念的に乗り越えなければ 21世紀以降を豊穣にしていくための世界的な経済システムは構築できないのではないかと思うからです。
たとえ、ジョージソロス氏が独り、その本質的な瑕疵に気づいたとしても、またぞろ同じようなことが繰り返されるでしょう。LTCMのジョンメリウエザー会長はヨーロッパに雲隠れしたままですし、タイガーマネジメントは 懲りもせずに、本日11月3日時点で10月分損出34億ドルを出し、累計損出約170億ドル(約2兆円)を計上しています。

10月30日に開かれた緊急のG7はこうした経済の終末的な状況と実害に鑑み、次の声明を発表しました。
*IMF新融資枠の設定、*短期資本の監視強化、*ヘッジファンドの実体把握の3点です。
結果的にはこれはこれでいいのではないかと思います。少なくとも的は外れてはいません。これまでなんども デリバティブとヘッジファンドに対する封印策の必要性を強調してきましたが、方策としてはそれほど違っておりませんので 今回のG7合意には大賛成です。ただし宮沢大蔵大臣が言っているように、各国で具体的にそれをどう展開するのかが重要なわけです。私としては日本は極めて厳しい規制と辛めの見方をとって欲しいと思います。 それは日本が、やはり「富を生み出し続けている唯一の大国」であり世界経済の最後の砦であると考えているからです。このことに関しては又別の機会に論じてみたいと思いますが…。

ところで、そのG7の声明ですが、実は本質的なところでは私が鏤々拙論を展開している21世紀経済のデザインとは大きな乖離があります。
今回のG7の対応策は対症療法以外のなにものでもありません。しかも、その対症療法も実は影の主導者であるアメリカが実害を蒙った、あるいは今後も大きな損害を受けそうだ…ということが見えてきたからであり そのことに「金融大魔帝国」が震え上がったからでしょう。

第二次世界大戦末期の1944年に確定されたブレトンウッズ(アメリカの都市)体制が20世紀後半の世界観と世界経済システムを作り上げてきているわけですが、国連もIMFもすべからく、いわゆる当時の戦勝国たる連合国側に都合のよい体制であって、連合国に有利であること、かつ富ませることを本質的な目的としているわけです。
それがたまたま地球規模のグローバル経済を担わざるを得なくなってしまったということなのです。ですから その出自からして、最初から「太陽系視座におけるグローブ;地球」に対する見方と大いなる差があると言えます。

前回の慧でも言及しましたように、現在のIMFや国連のスタンスは一見地球全体に目が向けられているようですが、その実体は連合国優先をそのまま引きずり、経済に対する見方も物理的な地球に対する機械的な 「発散型自己増殖主義(これを自由主義などと見なす向きもありますが)」の展開です。
これに対して21世紀の経済は生きざま総体を扱う包括概念であって、結果地球に対する捉えかたはあらゆる 側面において「生命体的」になると考えられます。
自然現象としての地球のありかたをラブロックは”地球生命圏;ガイア”と称してその生命的存在を見事に表現しましたが、 経済についても21世紀以降は生命体的な捉えかたが当たり前になるということを言いたいわけです。

20世紀の経済のように機械的で発散的なシステムには生命体的な特徴をみることはできません。生命体的特徴の中で21世紀以降の経済において最も考慮されなければならないもののひとつが、「自律的な調整機構」でしょう。生命は自律的に総体を調整しバランスをとり、しかも進化発展させていくわけです。そのときの 生命体のココロは生命体自身の中心にあるのであって、局所にあるわけではありません。したがって、21世紀の経済の グローバルな調整機構には国家、地域、個人を超えた地球全体のレベルにおける叡智によって支えられた 情報の発信と実効策の推進が、”最初から”必要なのです。この意味において、今回のG7の声明の結論は 結果的には受け入れられるものですが、本質的なグローバル調整機構の機能としてははなはだ不十分と言わざるを得ないわけです。

加えて、現況のような経済混乱に及んでいまだに「国際資本流動に関する規制反対論」が出てくるわけですが、規制が必要だとか必要でないとかいう議論ではなくて、経済という生命体としての「本来生命維持のために具備すべき調整機能」をどうデザインしていくのかという問題なのです。

21世紀経済の生命維持機能としてのグローバルな経済調整機構の具体策について結論を急ぎましょう。

既にこの慧にて提言している「地球連邦サイバー銀行」という、理念的にも実行案策定的にも現在のシステムを遥かに凌駕した新しいグローバルな機関によって、生命体的な経済運営を図る必要があります。
ヘッジファンドのヘッジとは”為替差損の回避”のことですが、その為替の揺らぎを十分に吸収しかつ安定した 地球基軸通貨を現出するために、「地球連邦サイバー銀行」が信用担保する「グローバルサイバー通貨」の設定をすることが必要でしょう。そしてそれを補佐するために「地球連邦サイバー銀行」を支える4つの基軸通貨 すなわち「アメリカドル圏」「ユーロ圏」「中華連邦元圏」「円圏」の各基軸通貨が、各圏の経済活性度に応じて グローバル通貨の安定と循環を支えていくという構造が重要です。
さらに、現実的な問題として今次のようなデリバティブによる「発散自壊型商品」に対する各種規制、例えば レバレッジ比率の下方限定、実物経済への投資優先、デリバティブ商品等の商品選択、新興市場国などへの 投資枠限定等々、21世紀経済が生命体としての活力を失わないことを十分に考慮しつつ、生命の自己崩壊が 発生しないような予防策や、万が一発生した場合の迅速な対処策がグローバル視点で必要となるわけです。
経済という生きざま総体を生命体として見る!…これが最大のポイントです。そしてグローバルな調整は生命維持機能の重要な要素だと見る視点が不可欠なのです。これさえ押さえられれば具体的な諸方策は自助的に 増殖していくことでしょう。
私は経済学者ではありませのであくまでも概念設計の立場から新しい21世紀の生き様総体の大きな枠組みと方向性を概念デザインしているわけですので、提議させて頂いている諸案の細部については是非ともご賛同頂ける専門家諸氏にご教示頂くなり、あるいは共同にて研究を深めて参りたいと思う次第です。 …
今見渡せば、本当にレベルの高い実物の富を産出し続けているのは日本だけだと言っても過言ではないでしょう。また上記のような「生命体として経済を見る」というような東洋的な融合の哲学を実行しやすいのも アジアの中の日本でしょう。そういう意味で、21世紀経済のデザインは日本が率先して概念設計と検証をしていくべきものと考えているわけです。

いよいよ次回はこの連作の最終回です。お楽しみに!

  


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