”慧”小論文


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1999年-3月17日…ルノー・日産…文責;山口泰幸

小生が数年前までご厄介になっていた日産のことを、冷徹に書き上げてしまうことはどうしてもできないでいました。
しかし、「実質ルノー傘下に!」という紙面の見出しを見ていて、沈黙を押し通すことはもはやできなくなりました。
日産の中にはまだ私の友人も多く、”私のファンであると自称(よいしょ?)する”後輩もいますので、彼らのために
ルノー・日産の行方を語りたいと思います。数年前にサラリーマン生活とおさらばして、独り社会というジャングルに
踏み込みはじめた私ですが、いまだに日産の人々と仕事もし、時折我がオフィスへ来訪もされます。
1998年の5月頃だったでしょうか、十数人の課長クラスの日産マンがわたしのところに「情勢を聞きたい!」ということで
遊びにきました。講演料をもらうわけでもないので、「今日は本当に率直に今感じている直観みたいなものを述べます」と
言いながら、自分でも少し未来過ぎる話ではあるのかもしれないと思いつつも、次のようなキーワードを口にしたことを
鮮明に覚えています。ひとつが「日産はいずこかの懐に”抱かれる”」、もうひとつが「2010年時点でどうしても”日産”という
名前が頭の中に響いてこない」というものでした。言うまでも無く、ほとんどの人が半信半疑で聞き流していたように思います。
…が、1年も経たないうちに私の予感が90%以上実現してしまいました。
ルノーの実質傘下とは日産ではなくあくまでもルノー・日産であり、今後そのネーミングも紆余曲折があるに違いありません。
1998年の年末に日本開発銀行が約1000億円近い緊急融資枠を日産に設定しました。あれは実質的に「資本注入であり」、
「政府が国策として日産を救援した」という図式です。この2点において、栄光の日産はいずれにしても次元越えをしました。
さて、私がここで申し上げたいのは「私の予言があたる」ということでも「日産は消滅した」ということではありません。
既に、日本は”国策”として日産という20世紀の花形産業・大企業を21世紀に向けて温存しました。また、ルノーもフランスの
国策としてルノー・日産という構図を積極的に選びました。ここに実はモビリティサービス産業の21世紀的な芽が潜んでいます。
結論を急げば、日産は、少なくともその中で働く中堅の若人は”新生のプロセスに”組み込まれたということです。
勿論、いうまでもなく、日産はというよりもルノー・日産はこれから多大なる苦難の道を切り開いていかなければなりません。
大リストラ、経営の刷新、商品企画力の圧倒的な向上…等々。ハードルはきわめて高いわけです。しかし、高い波に翻弄されつつも
はるかかなたに晴朗な島の遠景が眺められるほうが、穏やかながらかすみの向こうに突如として待ち受けるがけっぷちにじわじわと
進むよりは圧倒的にましなのです。これは気休めではなく、真実日産は21世紀的なプロセスに乗っかり始めたといえるでしょう。
おそらく今後、ルノー・日産は第二、第三の変容を遂げながら21世紀のモビリティサービス業として生き続けるでしょう。
日産という企業の幸運はそこにあります。また、シンボルに太陽=日を頂く企業には、率先して新時代の艱難に立ち向かうという
責務があります。ボーナスが4ヶ月分に落ち、初めてのベアゼロで打ちひしがれている人も多いでしょうが、中村天風流に言うならば、
日産人は幸せである…なぜなら”今も生きている、生かされている”…ということになりましょうか。
さて、新生し始めたルノー・日産人に求められることを述べておきましょう。
@21世紀は20世紀とは異次元であるという認識をなるべくはやく持つことです。「大企業」「資本主義」「画一的」…というキーワーズは
ほとんど役立たなくなるでしょう。ルノー・日産は既に20世紀的な高度資本主義的大企業構造ではなく、新しい何かとして新生しつつある
という図式でいろいろなことを考え、変化させてみたらどうでしょうか。
A現時点で20世紀的に”優等生”である企業群も早晩、時代の異次元化に翻弄されるということです。赤字企業であろうと、黒字企業であろうと
極力早く、自助努力によって21世紀的に変身すべきなのです。現実、かのトヨタであっても、設備資産対営業利益率では、日産の次に
悪いのですから。…
B個人の名前や特徴が極めて前面にでてくる時代になると考えましょう。私がお勧めするのは、名刺の肩書きに「自分の能力あるいは”売り”
のキャッチコピー」を印刷しなさい…ということです。そのことで、自分自身が何者であるのか、何を価値基準として生きているのか、
何を強みに仕事をし生きていけるのか…が一目瞭然にわかります。
C企業の規模や経営の優劣に関係無く、「よい仕事は残り」「悪い仕事は消滅」します。企業が存続するしないではなく、仕事が存続するしない
ということが最大の問題になる…そういう時代であるということです。ルノーの役員に簡潔に自分のコンピタンスを言えますか?
それが言えれば、あなた自身もあなたの仕事も消滅することは無く、地球上のどこででも通用することでしょう。
D21世紀の富は増殖します。そのほとんどは不可視な文化的創造になるでしょう。経済はパイのぶんどりではなく、無限に増殖する
文化的価値(ハードもソフトも…)の自然な提供になるでしょう。また、報酬も単に金銭ばかりではなく、金銭も含めたあらゆる
”みかえりが”戻ってくるでしょう。そのときにあなた自身が何をクリエイトしていくか、それが最大のポイントであり、
商品企画・開発上でももっとも重要な切り口になります。あなた自身が仕事と企業を通じて社会にどんな価値を生み出していくか…です。
そのときあなたは常にグローバルオンリーワンでなければなりません。そういう準備ができていますか?

時代にさきがけて”清水の舞台から飛び降りた”日産、日産人の幸運さはそこにあります。なぜなら、21世紀的なことを誰はばかることなく
思い切ってできる状況に至ったからです。…モビリティーサービスは21世紀に3倍は開花するでしょう。やることはたくさんあります。
やれることもたくさんあります。まずは現況の本質を的確に捉えることからはじめませんか?…ルノーも日産も時代に”生かされている”…と。

  


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