”慧”小論文


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1999年-11月4日…新手のパイレーツ2;東芝の弱腰に異議有り!…文責;山口泰幸

ミノルタが過去、米国において、その「一世を風靡した自動焦点機能」の特許侵害で、数千億円規模の損害賠償を支払う羽目になり、 結局、その有名な商品によって稼ぎ出した利益の殆どを失ったという顛末は有名な話です。
そんなおり、今年に入ってからまたまた 米国訴訟がらみのきな臭い話が持ち上がってきました。その前哨戦がトヨタに対する総額七兆円規模の損害賠償「事件」であり、これは 今年前半に米国側から突然付きつけられた(と感じられる七兆円という法外で唐突な)巨額な損害賠償訴訟の一環で、その矛先は環境対応に対する 過去のシステムの不備にあります。
トヨタの奥田会長は迅速に反応を示し、「不当な要求」であると一蹴し、全面対決の姿勢を明確に しました。それはそうですよね。
いくらトヨタが資産28兆円規模を保有していたとしても、米国の脅しにハイハイと七兆円もの賠償金 を支払っていたのでは、経営など全くおぼつきません。その後トヨタへの七兆円賠償の話はどうやら沙汰止みの感があります。

ところで、その二番煎じとも言うべき提訴が米国テキサス州で起こりました。要は、ノートブックパソコンのフロッピーディスクコントローラーに 不備があり、「データが壊れてしまう可能性がある」という訴訟なのだそうです。それだけでも「言いがかりとしか」思えないこの提訴の 賠償請求額が1兆円を越すというのだから開いた口が塞がりません。そして東芝はなんと、早々と和解金1100億円を支払うことで経営判断 を下したというのです。
その理由が、
@テキサスは企業側に不利になる判決が多い、
Aもし負けたら1兆円規模の賠償をしなくてはならず 企業が倒産してしまう
…ということなのです。そして東芝側は考え抜いた末の「英断」とでもいいたそうな様子なのです。
果たして1100億円の和解金支払いが優れた経営判断なのかどうか、考えてみたいと思います。…そういえば東芝はつい先ごろインターネット を通じた告発により手痛い目にあっており、その後遺症が残っているのかもしれません。

まずアメリカ側の対企業の提訴なのですが、今次の様に特許でもなく単にデータ破壊の可能性というテーマを以ってして、1兆円規模の 巨額の賠償請求をしてくる構造なのですが、これは一ユーザーの企図ではないと見るべきです。すなわち、米国の余剰な手練手管の 弁護士(特に企業を狙い撃ちする)が”巧妙に仕掛けたプロジェクト”であると見るべきなのです。
米国のこうした弁護士は、訴訟人 からの依頼を受けてから弁護士としての行動を起こすのではなく、実は
@そういう”金になるネタ”を探し、
A次に対象となりそうな 訴訟人(複数もあり)を探し、
Bそれを組織化して、代表者を置き、
Cその選任弁護士に就任する。
Dそして訴訟人にとれそうな賠償額を提示し、
Eその10%程度を”成功報酬”とすることを訴訟人と契約し、
F全ての活動の全権の委任を受ける
…という図式と 考えられるわけです。…要するに弁護士であって弁護士ではなく、「照準企業から金を合法的に毟り取る」ビッグプロジェクトの プロデューサーが影で動いているということなのです。まあ、いいかえれば、「言いがかりのネタ」を探してプロジェクトにするわけです。 そして、その成功報酬こそがそうした影のプロデューサーたちの狙いなのです。

結論から言えば、東芝は残念ながら戦わずしてまんまとその罠に100%嵌ってしまったということになりましょう。一番ほくそえむのは 一体誰でしょう。勿論タナボタの訴訟人は美味しい目にあいますが、最も今回の結果笑ったのは陰のプロデューサーである選任弁護士(団) でしょう。かれらはたった半年の「提訴プロジェクト」で和解金をせしめ、そのうち約10%程度=100億円を個人的な上がりとしたことでしょう。

東芝はなぜ弱腰になってしまったのでしょう。なぜこんな茶番が見ぬけないのでしょうか。情けなくなります。今次の仕儀で東芝は 1100億円(アメリカでのフロッピー市場でのほぼ利益分)で済んでよかった…と考えているでしょうが、とんでもない誤りです。
それが証拠に、「東芝の和解例」を梃子に、早速11月2日、コンパック・コンピューター、ヒューレット・パッカード、NEC、 パッカードベルNEC、イーマシーンズの5社に対して同様な集団訴訟をテキサス州連邦裁判所に件の法律事務所が提訴した ということです。多分米国企業は折れないでしょう。そうすると次なる照準はNECですね。NECがどうでるか。件の弁護士がいる 法律事務所が狂喜乱舞で祝勝会をやっている姿が目に見えるではないですか。

このような「言いがかり式提訴」は私に言わせれば、それこそプリンストン債を使った巧妙な国際詐欺よりももっと、単純で粗暴な 文字通り、パイレーツ(海賊行為)に他なりません。…こうした蛮行への対応の最善策は、言うまでも無く精悍に戦うことなんです。 そして相手の構造や思考パターンや戦略を見とおして、効果的な手を手際良く打っていくことなんです。

残念ながら、今回東芝は、海賊船が来ただけで、「船に火を放つぞ」と脅されただけで、大事な積荷を渡してしまいました。
今回の最大の問題点は、プリンストン債事件に次いで、「日本の企業にはこの手も使えるぞ」という前例と、確信とを相手に< 与えてしまったことです。従ってこれは東芝一社にて収まる話ではなく、日本の企業全体に関わるゆゆしき「経営判断」となった と言えましょう。

21世紀型企業の大きな基盤の中に、インターネットを軸とした情報化対応ということがありますが、情報化社会とは一方で大きな花であり また一方で、新手のパイレーツを生み出しやすい”暗黒”を内在させていると承知すべきでしょう。

「データが壊れる”可能性”の賠償和解」に1100億円ですか!!!…あーもったいない!本当にもったいない。東芝には是非支払った後の
経営の「心の弱さ」が即座に企業の死活を決めてしまう…なんともシビヤな状況!何とも爽快ではない!そんな思いが漂う事件でした。

  


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