優れた作品や商品のコンセプトを探る!
概念デザイン・メソドロジー;TCA:Total Concept Appreciationの概要
TCA:Total Concept Appreciationご案内の主旨
注)2006年執筆のコンセプト・メイキング方法論の論文では、TCAをTotal---ではなくTacit---Concept Making
すなわち、「沈黙のコンセプト分析」としています。これは当該作品の作者が既にこの世になく、本人から手掛かりを
聞き出せない場合、または当該作品の作者が意図的に沈黙を保つ場合、あるいは潜在的なコンセプトの認識を明示できない
場合を特に考慮して、それでも概念デザイン・メソドロジーに則って、遡上的に現象としての作品からそのコンセプトを
顕在化させる…という意味を込めています。TCAの言葉の使い方としては状況的に適した訳を用いることをお奨めします。
補足…2010秋。概念デザイン研究所 山口泰幸。
概念デザイン研究所の主要メソッドのひとつであるTCA:Total Concept Appreciationは、優れた作品や商品あるいは
気になるテーマや対象について、その潜在構造となっているコンセプトの全体像を、概念デザインの
基本原理に則って探究・明示する手法です。
実際の社会生活や商品市場において、過去の優れた作品や競合他社の商品は大変気に掛かるものです。
デザイナー、商品企画者、研究者ならば少なからずそうした経験があるのではないでしょうか。
概念デザイン手法の主要メソッドであるOCM;Ordinary Concept Making、RCM;Reverse Concept Making、 ACM;Applied Concept Makingは
「自分の作品や商品をコンセプト開発をする場合の」方法ですが、TCAは「既に目の前に存在する他者の作品や商品」のコンセプト分析を
行う方法です。
TCA:Total Concept Appreciationを直訳するならば…(対象となる他者の)コンセプトを全体的に味わう…という意味になります。
そういう意味ではコンセプト・メイキングフェーズに入る前の、リサーチフェーズの中で取組むべきアプローチです。
優れたコンセプト開発を行い、デザインを展開し、技術を開発し、最終的に優れた具現化物を世に送り出すためには、『優れた比較対象を検証しなければなりません』。
TCAは優れた比較対象を生み出している潜在構造、すなわちそのコンセプト自体を、『コチラ側の見方』で分析・解明し、そのコンセプトを生み出している
比較対象の創造”場”や作者のモチーフを明確化するものです。
優れた作品や商品には、概念デザインの基本原理から言えば、必ず優れた概念構造が潜在的にあるはずですが、実際、多くの場合には、作者が
@そのことに言及しなかったり、A言及できなかったり(表現の能力の問題)、Bあえて伏せる場合、Cあえて違うコンセプトを言う場合など
を通じて、コチラ側が適切にその比較対象のコンセプトを知りえる機会は少ないと言えます。
最近では”コンセプト”という言葉が流行っているだけに、テレビCMなどでも「この商品のコンセプトは…」などというフレーズが飛び交いますが、
厳密に分析すると本当のその比較対象のコンセプトと、いわゆるテレビCM用で使われる「コンセプトという言葉」で言っているコンセプトとは
違うことが多いことも事実です。
従って、デザイナーや商品企画者などは、気になる比較対象作品・商品の「ムコウ側で言われるコンセプト」をそのまま受け取るのではなく、
自前で「コチラ側から適切に見たその比較対象のコンセプト」を、TCAによって明確化し把握する必要があります。
TCAのおおまかなプロセスは、@比較対象の作品や商品が生み出している現在の創造”場”を複数のアプローチで分析し、Aそれらの逆翻訳によって
抽象度を上げながら概念構造を再構築し、B最終的に、その比較対象の原初の創造”場”を同定してゆきます。その結果得られた”コンセプト”が本質的な
コンセプトであり、これを把握しながら、C何故その比較対象が優れているのか、あるいは売れているのか、デザイン的・技術的有効性はコンセプトのどこから生まれているのか
を探究し、Dそしてこれから開発しようとする自前の作品・商品のOCMに役立てるわけです。
TCAは何度か経験すると…対象を見ただけで”その裏側のコンセプト”が透けて見えてくる…ようになります。
また、既に作者がいない場合、分からない場合などにもTCAは有効です。
具体的なTCAの進め方はかなり複雑な手順を段取り良く実践してゆく必要があります。
さらにTCAの詳細手順や事例についてご興味がある方は、電子メールにてご連絡ください。
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執筆者;山口泰幸@概念デザイン研究所