随筆集;「超古代巨石文化」


随筆集006;20/Jun 2000

超古代の接着技術 Copyright(C) 2000 by Taizan


巨石文化を考える上で、人の手による運搬技術や加工技術については格好の検討材料である。その中でも「巨石表面のタイル石」や「古代の接着;セメント」という テーマは一般的にはオーパーツとして異端的な議論の対象ではあるが、巨石文化に関心を示す人には、いわば「常識的存在」でもある。しかし、接着技術は比較的 新しい時代のものという固定観念があるがゆえに、いきおい「古代のセメント」などというと、それだけで、まじめな議論がどこかへいってしまう。 今回ご紹介するのは岐阜県山岡町の巨石研究会では”公認されている”古代のセメントの実物写真である。場所は既に紹介してある岐阜県の磐座の森で、その中に在る 「組み石遺構」と呼ばれる人工が加わった巨石である。頂上付近の「神石」の台座を形成するようなカタチでその組石遺構はあるが、その組み石の組み方もさることながら、 組み石の表面にわずかに残存している「古代セメント」がなんとも印象的なのである。

古代のセメントについては広島県帝釈峡の雄橋(おんばし)の橋下駄部分が石灰による接着ではないかと言われているし、瀬戸内の白石島の甲岩や、神戸の越木岩神社の 甑岩のタイル石など、日本各地に古代接着技術の現物は残存している。

磐座の森の古代セメントは現代のモルタルよりも成分がざらざらしており、かといってコンクリートのようでもない。粒の細かい「さざれ石」といった感じで、べたっと した様子は漆喰に似ているところが少し在る。しかし漆喰のようにぼろぼろと削れることは無く、古代セメントは石のように硬く手で触った位ではまず削れることは無い。



幅約5m、高さ4m位の組石遺構。そもそも斜めに輪切り状の石を組み合わせているところが珍しい。 この組石全体でひとつの大きな台座を形成している。水色で囲った部分が問題の「古代セメント」が残存しているところ。
おそらく、これは私の予想だが、斜めに組み合わされた台座石の表面全体を古代セメントで覆い、全体として一つの巨石を構築したのではないか。 つまり、大きなひとつの石を用いるよりも複数の石の組み合わせによって先ず、台座石の安定を確保し、全体の固着と化粧の目的で古代セメント を全体にまぶしたのではないかと思えるのである。今回の写真はその一部が奇跡的に残存していたと考えられる。











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上の写真の水色枠を拡大したところ。黄色の枠と青の枠が接着の痕跡である。














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黄色の枠の拡大写真。左斜め上の石と右下の石の先端が接着剤(古代セメント)で繋がっているのが分かると思う。
極めて強固に連結されていた。接着剤というよりも、既に石そのものになっていると言うほうが正解。金属であったならばさしずめ、「溶接」といったところ。
連結部分はこぶし大しかない。よく持ちこたえていると思う。












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青枠の拡大写真。斜めに並べられた平たい石の手前表面を繋げながら覆い隠すように接着しているのが分かる。
実物の大きさは面積的に40cm×40cm程度。
ここだけ接着しておくと言うのは根拠が薄いので、おそらく全体をカバーし、ここだけが残ったと見るべきだろう。
写真からもかなり古い物体であることは感じられると思う。少なくとも「最近の補強」ではないことは明らかだ。








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今回紹介したような「古代セメント」などは、そのように意識してみていないと全く見過ごすだろう。殆ど自然石に近く風化しているし、もしはがれていれば 残骸は単に石のかけらにしか見えないからだ。しかしこういう”物件”は探せば夥しく出てくるのではないだろうか。それは巨石文化における技術の中で 運搬技術、加工技術、接着技術は基本テクノロジーとしてセットで考えられるからで、これらの組み合わせにより、より幅広い巨石表現が可能となると 言えるからである。
与那国島の海底で昨年見つかった「ご神体石」(久米島の太陽石(うていだいし)に酷似)の下には見事な台座がある。また山岡町の他の巨石神殿の巨石の下にも 台座がある。両方とも台座とご神体石とが”接着されている”ように見えた。私が古代人であったならば、当然台座と巨石を接着するだろう。勿論安定的に 固定するためである。同時に巨石の芸術的な表現においても接着技術は大いに使えるだろう。そういう芸術表現のための接着技術は探せば出てきそうである。 既存の「タイル石」などは単なる機能上の使用だけとはとうてい思えない。


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