洛北から和迩を抜けて、琵琶湖西岸沿いを北上すると、左手前方に比良山系が姿を表します。
比良山のヒラとはヒラミツトと相通ずるものがあると考えられます。
比良が日照(ヒラ)の転化だとすると、比良山は日照山ということになります。
直接的にヒラミツトのヒラが冠されたこの山は一体何なのか、それを確かめて見たくなりました。
古代、方角を示すことばにはすべてヒという音が接頭語としてつきました。
今、かすかにその痕跡を残すのが、ヒカシ、ヒナタ、ヒムカ(日向)そしてヒコネ(彦根)です。
ヒコネとは北西、ヒムカとは東南を示します。
彦根は霊山御在所岳に対して、日向は霊峰阿蘇に対してそれぞれ北西、東南になります。
ではヒラはどういう視点から付けられたのでしょうか。
これは私が現地に行って感じたことですが、ヒラとは光り輝くことそのものを
表現しているのではないでしょうか。比良山の東南、すなわち巽の方角には
琵琶湖をまたいで、近江富士、霊峰青山、そして遠く伊勢の地が配します。
実際に比良山山系を間近で見上げると、白い岩盤と雪とがあいまって、
白く美しく輝いていました。東南からの太陽を受けてきらきらと
反射光を照り返したに違いありません。近江富士から比良山山系を望めば
まさに日照=ヒラの輝きがそこにあるわけで、形ともども比良山は
ヒラミツトとしての品格を保っているのです。
比良山から湖西道路を南下し、もうすぐ琵琶湖大橋にさしかかろうとするとき、
春霞の向こうに美しいピラミッド型の山容をほんの一瞬確認しました。
この山こそ、名高い近江富士、すなわち三上山です。
三上山は御神山とも呼ばれていたそうです。そういう意味では
みかみやまというのがもっとも相応しいでしょう。この日は3つめの山登り、
くたくたに疲れながら、それでもどうしても登りたいという気持ちに勝てず
午後4時半から夕陽を頼りに頂上を極めました。
頂上の磐座からの琵琶湖の眺望はこの上なく素晴らしいものでした。
Near Kyoto there is a beautiful Mt. Mikami; so called Oumi Fuji.
Mt. Mikami is a famous legendary mountain.
I could not find any artificial manufacturing in rocks ,however
the location of sacred rocks especialy Okutsu-Iwakura could indicates
a possibility of once being a Hiramitsuto.
1997 泰山記
PS 2010年高精細画像に置き換え。 但し、写真1〜8は1997年当時の低解像度デジカメによる。